△第51号: 新春の英国最高峰北壁登山 (後編)
- 発行日
- 2007/06/04
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
新春の英国最高峰北壁登山の後編です。
実は、この登山の後、今期は、残念ながら冬山に入る機会がありませんでした。
暖冬だったり、諸々の理由で。春にちょっと雪山を登ったくらいです。 だから、これが今期の最初で最後の冬山の登山記録となります。
どうぞお楽しみ下さい!
目次
登山記録編 〜〜 新春の英国最高峰北壁登山 (後編) 〜〜
(前号(第50号)からのつづき。)
確保支点のレッジの目の前の洞窟が 半分氷で埋まっていて、そのまま中を登り抜けられるようだ。 おぉっ、これは面白い。洞窟を抜けた後は、さらに急になる氷壁に取り付く。 ここが核心だった。最高斜度 80°というところか?
35m の後、ごく小さなレッジに着いた。僕の前方には雪の大斜面が取り囲むのみ。 スクリューを打ち込む。怪しい……。もう 1本 — だめだ、噛まないでは ないか! このスクラップ安物スクリュー!! 安物スクリューを買うのは愚かという こと、知識として聞いてはいたが、今やこのうえなくはっきりと身を持って 理解できた。願わくは、このルートの前、もっと安全な場所で理解して おきたかった……あぁっ! 眼前、氷の手前には岩角があったので、そこに ピッケルをかけて、一応のバックアップとしたものの、これは 実用的というよりむしろ精神安定剤というべきものだろう。 グレアム、ベン、頼むから落ちないでくれよ……。
幸い、二人とも問題なく、このピッチを登ってきた。さて、後は、最終 ピッチを残すのみ。左斜め前方へのラインが、最も傾斜が緩く、 稜線へ抜けそう。純粋な雪のルート。つまり、中間支点なし。
僕は登る。長いピッチではない(25m?)。最後のきのこ雪はそう悪くはないが、 それでも格闘を要した。何とか格闘を終え、稜線に出た時の喜びと言ったら!
ピッケル 2本を埋めて確保支点として、ようやく「ビレイ解除」と叫ぶ。 ふぅ、ちょっと安心の時……。ザイルの関係で、ここはグレアムとベン とが別々にフォローしてくる必要があった。 ベンは後に、(グレアムの後)独り後に残されて、 危ういアイス・スクリュー(申し訳ない!)だけが頼りの状況で、怖かった、 と術懐していた。でも、今、彼は登れる、そして稜線まで登り切った。 おめでとう!!
時刻は 19:30。気温 0℃。ついに登り切った。
短い距離を歩いてベン・ネビスの山頂を踏む。
結局、この山頂は、僕らが今朝楽観的に予想していたより、はるかにはるかに 遠かった。でも、僕らは登り切った。素晴らしい!!
後にグレアムは、彼にとってこれがベン・ネビスの 3回目の挑戦で、 初めて頂上を踏むことができて、非常に嬉しかった、と語った。 実は、もし、一般登山道を取るなら、ベン・ネビスの 山頂を踏むのは全然難しくない。単調で整備された(=つまらない)道が頂上 まで続く。 グレアムの以前のトライは、それぞれ北壁と北稜とから。いずれも ずっと上級者向け。しかし悪天などに阻まれて頂上を踏むこと叶わなかった そうだ。今回、グレアムは再び北壁から挑戦して、そして成功した — 賞賛に 値する! 登山家かくあるべし!!
△以上、3回分、記録の一部。全文は、以下に載せました。反省も色々綴っています。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20070101_highland.jis.html
なお、これは英語版を先に書いて、日本語版はその翻訳に近いものです。 英語版は同ページの先頭からリンクが張られています。
英国の山紹介編 〜〜 ベン・ネビス(Ben Nevis)山 〜〜
英国最高峰として、(英国人の間では)非常に有名なベン・ネビス(Ben Nevis)山。 ただし、その標高は 1344m
に過ぎないので、世界的には高山とはとても言えません。 しかし、その険しい北壁は、すばらしい登攀の舞台を提供していることで
有名です。だから、世界から、登山家があえて登りに来ることも珍しくありません。 この 2月には、日本から馬目弘仁と横山勝丘とが訪れて、
Dave MacLeaod と共に、新ルートを開拓していました。
http://davemacleod.blogspot.com/2007_03_01_archive.html
ベン・ネビスの登山口は幾つかありますが、最も標準的なのは、 フォート・ウィリアム(Fort William)町のユース・ホステル前の登山口でしょう。 海抜 20m なので、1300m 以上の高度を自分の足で稼ぐ必要があります。 ここの一般登山道は Pony Track と呼ばれ、山頂までずっと整備された 単調な道が続きます。ただし、山頂手前の稜線は冬(1年の半分?)は雪で覆われる ため、注意が必要です。
北壁へ向かうアプローチも、同じ登山口を使うのが普通です。途中で 一般道と分かれますが……(中略)
ベン・ネビスの頂上稜線は悪天下には迷いやすいことで有名です。 そして、ベン・ネビス山で悪天というのは全然珍しくなく……。 もし迷えば、(下降時として)右は北壁の絶壁、左も険しい崖なので、 非常に危険です。明らかな北壁の危険を避ける心理のあまり、 左(南面)の崖に迷い込む事故が後を絶たない、と聞きます。 また、頂上稜線は遅くまで雪が残り、雪庇も発達して いるので、もし雪庇を踏み抜けば、それまでですし……。 悪天時、ベン・ネビス頂上からの下降は、以下のようにナビゲーションする のが推奨です。 (参考: http://www.mountaineering-scotland.org.uk/safety/nevis_bearing.html )
- 頂上三角柱から(真北から) 231°の方向に 150メートル
- 次いで 282°の方向に歩く — ジグザグ一般道に突き当たる
△この記事の全文と、併せて ケアンゴーム山と
アヴィモア村
の情報を以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/info/scotland.html
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu051.html - 過去、メルマガで書きためてきた「登山ミニ知識」のコラムを ウェブにまとめて掲載しました。我ながら結構書いてきたもの?
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/trivia/
次回予告
次回は… 「ピーク地方の隠れたお宝岩場(バンフォード・エッジ)」
See you later!
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