△第107号: キリマンジャロとケニア山 (その二): キリ取付
- 発行日
- 2013/01/30
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
随分間が空いてしまいました! 英国に帰って来た後、再度引越したり 慌しかったものですが、登山およびその訓練の時間だけは確保して
いました(引越の後片付をするのに何週間もかかりましたが(苦笑))。 昨秋には、トップクライマーのトム・ランドオール氏に
岩登り用の個人訓練計画表を作成してもらい、時折(トムと自分の 体と)相談しながら、同計画に沿って訓練しているところです。
ちなみにトムは、二年間にわたってパートナーと共に自宅地下室で 特訓を重ねた後、オフウィズスとしては世界最難記録を破るルートを一昨年に
初登して、世界のクライミングのメディアで話題になった方です(昨年、 そのドキュメンタリーDVD「Wide Boyz」(英語)が
HotAche社から 発売されました)。
日本でも報道なされたと聞いていますが、英国では、先週末まで二週間に わたって大寒波に襲われていました。冬山屋にはまたとない機会となり、 ウェールズの伝説的な氷瀑 Devil's Appendix がついに凍りました。 その種の中では英国最難の一つとされる名高いルートです。 この機会逃すべからず、と年休を取って金曜日に登りに行き、無事 完登しました。翌日には融けてしまっていたので、ぎりぎり間に合いました。 過去には 15年間一度も凍らなかったこともあると聞きます。この機会を 捉えることができ、幸いでした。
今号の主題は、前回予告通り、キリマンジャロ登山報告の続きです。 ほんの少しだけスワヒリ語(!)も含めました。 お楽しみ下さい。
目次
登山記録編 〜〜 キリマンジャロとケニア山 (その二): キリ取付 〜〜
(キリマンジャロ登山にあたり、一人当たりの登山費用 1000米ドル以下を 目指して、現地で飛び込み挑戦することに決めた、まさとゆき。 空港に着いて盗難に気付くも後の祭。諦めて基地村へと向うが……)
僕らは、空港を出る最後の乗客となる。たくさんのタクシー 運転手が僕らを歓迎してくれた。目的地のモシの町まで 50米ドル。 「ほら、そこにそう書いてあるでしょう?」と空港警備員まで 調子を合わせて、壁の張り紙を指す。 ふざけんな! ガイド本には、頑張って、25米ドルまで落とせる、とあるぞよ。 ちなみに、ここに路線バスはないので、路線バスのルート(数km?)まで歩くか、 タクシーしか選択肢はない。
というわけで交渉開始するも、全く埓が開かない。 要するに、乗客の数よりも運転手の数の方がずっと多いため、 連中はカルテルを結んでいる、ということだと見た。 仮に乗る人が運転手一人当たり 2日に 1組だとしても、 1組あたり 50米ドル取れるならば言うこと無し、その方が全員、幸せなわけだ。 途上国旅行の経験豊かなゆきが才能を発揮して何とか 40米ドルに落とした ところで手を打つことになった。
空港に公共交通機関が無いなんて、とその時は呆れたものだったが、今 振返ると理解できる気がする。結局、キリマンジャロ空港を利用する人の圧倒的多数は 外国からの観光客だ —— キリマンジャロ周辺かサハリかのいずれかが目的の。 そもそも同空港は、そのためだけに建設されたような空港のようだし。 そして観光客の圧倒的多数は旅行社を通じたツアーで、事前に空港への 送迎は自前で手配している。 貧乏旅行者(バックパッカー)の場合、他から陸路で来る人が多いだろう。 一方、地元の人間だとよほどの大金持ちしか空港は使う(使え)まいし、 使う必要もない。要するに、モシ空港を利用する人で、その場で移動の 手段を必要とする人はごく限られる。 だから、公共交通機関を敷設するのは無駄ということになりそうだ……。 仮にそういう動きがあれば、職を奪うな、と地元で反対の声が出るかも知れない。
着いたモシ町で、バックパッカー御用達のホテルにチェックイン。 その頃には、タクの運ちゃんの知合いか何かの ツアー会社の人が同行してきていて(仕事が早い!)、早速、 彼らの会社に行って話を聞くことになった。条件を色々訊かれた後で (マチャム・ルートでの)提示額、960米ドル/人。おぉ、そうこなくちゃ! とはいえ、一社だけではやはり実際の相場は分からない。 他の会社の話も聞いてから、と辞する。
実際……、その会社に行く(というか連れ込まれる)その段階で、 他のツアー会社らしき人からもしつこく声をかけられていた。 そしてもちろん、その人はその会社の前で僕らを待っていたので、 次はその会社に行く(連行される)。 こちらは…… 932米ドル。
さらに念を入れて、もう一社訪問(3社とも、ホテルからは徒歩 1分の距離!)した 後、結局、2番目の会社 Kessy Brothers を選んだ。 英国人の若いカップルに合流して、つまり登山客 4人に対して、 ガイド 3人、料理長 1人、強力(ポーター)12人(!)がついて登ることになる。
早めに夕食を済ませて、床に着く。明日は、8時集合。
(……つづく)
登山ミニ・スワヒリ語編 〜〜 ゆっくり! 〜〜
中央アフリカの国々の標準語はスワヒリ語です。 ただし、スワヒリ語がいわゆる母語とは限りません。 たとえばケニアの場合、現地(首都ナイロビから 100kmくらい離れた地方)の 人の話では、幼稚園では部族語(つまり母語)、小学校低学年くらいから スワヒリ語、中学以上では英語、と学校で使う言語が切替わっていくそうです。 そうして、成人する頃には、少なくとも三か国語は ぺらぺらになっているんだとか。
一方、タンザニアのモシ町の場合は、英語を喋る人は少くはないけれど 限られていたものでした(現実問題としては、話し掛けた人が英語を 解さなければ、周りで英語を解する人をすぐ呼んでくれるため、 問題はなかったものでした)。
というわけで、実用的には、スワヒリ語が喋れなくても困ることは
特にない感じでした(もちろん、海外観光客で溢れるモシでないタンザニア国内
ならば話は変わりましょう)。その中で一点、キリマンジャロを登った人ならば 誰でも知っているスワヒリ語があります。
「ポレ、ポレ (pole')」
「ゆっくり、ゆっくり」 という意味です。キリマンジャロ登山はほとんどの人にとって 高山病との戦いになります。高所順応ゼロの状態から 5900メートルまで 数日で登ることになるため、いかに効率よく高度順応できるかが鍵になります。 高度順応の秘訣の一つは、無理せずゆっくり動くことです。息が切れるような 運動の後で(高所で)長時間休む(←高山病にかかるための処方箋!)よりは、 同じ距離をゆっくり確実に歩く方が早く高度順応できます。
というわけで、
「ポレ、ポレ (pole')」
は、キリマンジャロのガイドにとって口癖のようなもので、 登山を終えた頃にはすべての登山客もこれだけは覚えた 表現になるのです。
次回予告
次回は… 「キリマンジャロとケニア山 〜 サプライズ山行」
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