▲欧州的登山生活▲
△第69号: 岩登りへの復帰 (スタニッジ・エッジ)
- 発行日
- 2008/03/31
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
御無沙汰しました! 早くも彼岸も過ぎて春らしくなってきた頃でしょうか。
山に行かれた方、またご報告のお便りなど頂けると嬉しうございます。 僕の方は、3月は
2回、英国最高峰のベン・ネビス山まで冬季登攀に行きました。 往復 1500km くらいの運転になるので、特に週末
2日でこなそうと思うと 楽ではありませんが、その価値はありました(もっとも、1度目は、天候に恵まれず
すごすごと退却する羽目になりましたが……)。そのうちレポートさせて 頂きますね。
さて、昨夏の初めあたりから、僕は肘の調子が思わしくなく、 岩登りは休業に近い状態でした。 第67号で書いたように、全く行かなかった わけではないまでも、肘に負担をかけるわけにはいかず、歯がゆい日々が 続いていたものでした。秋になり、ようやく少しよくなってきたところで、 久々に(技術的ではなく感覚的に)満足のいく岩登りができた、その時の 記録を今回の主題に据えます。場所は……もちろん(?)英国伝統登攀の故郷 スタニッジ・エッジです。あわせて、 「フリークライミングの難易度」にひと区切りをつける第7回をお送りします。 お楽しみ下さい。
目次
登山記録編 〜〜 岩登りへの復帰 (スタニッジ・エッジ) 〜〜
僕は肘の調子がようやく少しよくなってきた。 まず、短いながらもハードな核心の HS 4c のルートを問題なく登って 自信をつけた後、思い切って、近くの HVS 5b の Rugosity Crack を登ることにする。目立つクラックがあまりにそそったもので (ちなみに、このルートは、スタニッジ・エッジのルートの中で 一つのエポックとなった伝統のルートだと、後で知った)。
上部の曲がったクラックが間違いなく核心と見る。核心前、 ムーブを見極めようとするも、いまひとつ確信が持てない。 特に、必要となるスタンスがなぁ。でも、逡巡の後、スタミナが切れる前に 決断、登り始める。ハンド・ホールドは予想通り。しかし……、 スタンスが悪い。ハンド・ホールド頼りにパワーで誤魔化せるかという楽観は 吹き飛ぶ。これはまずい……あぁっ。少しクライムダウンして、 中間支点に体重を預けて休むことと相成った。残念。
休みながら再度、ムーブを考える。今度は、使えそうなスタンスが 見えてきた。これなら登れるか? 挑戦……登れた。1度目で見極められなかった のは次の課題ということだろう。
その後、最後は VS 5a のルートで今日の締めに。 またもや、ムーブはよく見えなかったが、こちらは結局、パワーの勝負 だったようで、無事、切り抜ける。タフな 5a。 大いに楽しめた!
ちなみにフォローのルークはそこで 1度落ちながら登ってきた。 フォローだったら 1度落ちるくらいのルートじゃないとね、とコメント。 全くおっしゃる通り。クライマーのコメントですね!
△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20071103_stanage.jis.html
登山ミニ知識編 〜〜 フリークライミングの難易度 (その七) 〜〜
(第67号 「フリークライミングの難易度 (その六)」からのつづき。)
世界各地でそれぞれ違った(フリー)クライミングの難易度が使われています。 今回はその「大雑把な」対応関係を述べます。 なお、気をつけるべきは、 第52号で述べたように、 難易度算定の基準がそもそも違うので、厳密な対応つけは不可能ですし、 意味ありません。そのことを踏まえた上で、 まず、以下が、大雑把な対応表です。
| 英国(形) | 英国(技) | UIAA | 仏国 | 米国 | 豪州 |
| M | I | 1 | 5.2 | 5 | |
| VD | III | 3 | 5.4 | 7 | |
| S | 4a | IV+ | 4 | 5.5 | 11 |
| VS | 4c | V+ | 5+ | 5.8 | 14 |
| HVS | 5a | VI- | 6a | 5.9 | 17 |
| E2 | 5c | VII | 6b+ | 5.10+ | 20 |
| E5 | 6b | VIII+ | 7b | 5.12 | 25 |
上の表にある通り、 たとえば、(英国式) HVS は通常、米国式 5.8/5.9 くらい と言われます。しかし、HVS 4b というルートならむしろ 5.6 くらいでしょうし、 あるいは HVS 6b というルートならむしろ 5.12 がふさわしい対応でしょう。 逆に言えば、英国で HVS というルートを見た時、あぁ、5.9 か、と単純変換して 無闇に突っ込むと痛い目にあうかも知れません。 ちなみに、米国式 5.6 なら、それなりの運動神経の人なら初心者でも登れますし、 一方、5.12 を登れる人は地域のクライミング大会の表彰台の常連のレベルです。 なお、第52、 53号で述べた原則に基づくと、 英国の技術難易度と米国式難易度との相関は、大抵の場合そんなに悪く ないはずです。しかし、現実には、英国の形容難易度を米国式難易度と 相関づけようとする人が多く見られるように感じます — どれほど 意味があるか僕は疑問ですが。
△第52号以来、今号まで 7回に
わたった解説記事をまとめて、以下に載せました。今回取り上げた難易度対応表 についての
WWW上のリンクも含んでいますので、興味のある方はどうぞ。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/trivia/climbinggrades.html
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu069.html - 2007年9月〜10月にかけて行ったピーク地方の Windgather、Burbage North、 Stanage Edge
(High Neb) の岩登りの記録をそれぞれ以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20070901_windgather.jis.html
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20070908_burbage.jis.html
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20071013_stanage.jis.html
次回予告
次回は… 「マロリーのスラブの悪夢」
See you later!
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