▲欧州的登山生活▲

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第101号: 新ルート開拓 (チャーンウッド石切場)

発行日
2010/08/31
発行者・筆者
まさ (坂野正明)

まさです。
昨年、登山の新しい楽しみを発見する機会がありました。 新ルート開拓です。 英国では、オンサイトの概念が大変、重要視されます。
 http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/trivia/climbingbasic.html#onsite
端的には、初登者の興奮を味わいましょう、ということですね。 とはいえ、他の人が登った記録があるルートの場合、 初登者と全く同じ、とはなかなかいきません。 たとえば、登攀ルートの場合、普通、ガイド本を見て「どの」 ルートを登るか決めますが、その時、最低でも難易度とルートの ラインとは当然与えられていますから、これは大変貴重な情報になります。 そんな情報が何一つなく、どれほど難しいか危険か、現場の自分の判断以外に 何も頼ることなく、処女峰、処女岩を登ることは、冒険としての 登山の原点かも知れません。

僕の住むレスター県では、ここ 2、3年、ガイド本の改訂にあわせて、 既存の岩場の掃除と新ルート開拓とが有志によって行なわれてきました。 昨年、僕もその有志の一人として、何本かのルートを初登攀しました。 今回は、その最初の日の記録を主とします。 また、引続き、 神奈川県の下山家さんから頂いたお便りへの 御返事のつづきも書いています。 お楽しみ下さい。

目次


登山記録編 〜〜 新ルート開拓 (チャーンウッド石切場) 〜〜

レスター県のルート確認および新ルート確立の活動の一環として、 Charnwood Quarry に来る。僕は初めて。 40メートル(!)のルートがいくつも並ぶ。

最初に 3ルート、(開拓主力の)ロビンのお勧めを登った後、 目についたアレットに惹かれる。 まだ誰も登ったことがないと聞いたので、オンサイトで挑戦してみた。 ただ、結局、 主に隣のスラブを登ることになって、そうすると、実は既存の ルートと大きく重なることが分かった。残念、それでは 新ルートとは言えないね。

ここで今度は初登への意欲が本気でわいてきた! あるコーナーのルートが未登と聞いたので、挑戦する — オンサイトで! 最初はスラブのスタート。鏡面のようなスラブでハード。5b。 そこから V字型のコーナー。左手で壁を押えつつ登るのが ちょっと独特で面白い。4b? 上部はかなり脆いようだ。 上から見守るロビンから注意を促される。実際、スリップしかけた! とはいえ、問題なく上まで登り抜ける。僕にとって記念すべき初めての岩登り初登! フォローのアンディと相談して、名前は Avalanche Valley (HVS 5b) と名付ける。

この後、さらにもう一ルート、ヘアライン・クラックの オンサイト初登を試みようとしたが……、登っているうちに、 掃除が必要なことが分かった。つまり、クラックにごく脆い岩や 泥が詰まっているため、それを最初に取り除かないと、登る自信が ない……いや、それを取り除いてさえ、登れるかどうかは分からない、 僕の限界に近いルートだから。今日は安全を見て、取り止めて、 隣の既存のルートに沿って登り、最上部で直登フィニッシュをしてみた。 5b かな。バリエーションということで。

こうして、初登攀の日を終えた。天候にも恵まれ、素晴らしい一日だった。 岩登りの新たな可能性を 感じたものだ。初登攀とは、実に楽しいではないか! 未知への挑戦こそ 登山の原点。伝統登攀はそれを追求したスタイルなのだから、 初登攀とはまさに原点に返る楽しみと言えよう。今年、もっと レスター県の岩登りに時間をかけてみたい!

△以上、記録の一部。全文(写真付き)は、以下に載せました。
 http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20090404_charnwood.jis.html


おたよりへの御返事 〜〜 イギリスの山岳会とヒュッテ 〜〜

神奈川県の下山家さんから頂いたお便り(第97号)への 御返事のつづきです。 なかでも、イギリスの山岳会のヒュッテの話です。

イギリスの「ヒュッテ」は、前号で触れた通り、 日本の山小屋と比較すれば、大変贅沢と言っていいでしょう。 いわゆる自炊形式(self-catering)の宿と、設備的に必ずしも 見劣りはしないわけです。そういった宿と「ヒュッテ」との 最大の違いは、寝室でしょう。「ヒュッテ」の寝室はちょうど日本の 山小屋のような見かけで、二段(三段も見たことあります)のベッドというか 棚の上にマットが敷かれていて、そこに各自持参の寝袋を並べて 雑魚寝するというのが普通です。また、「ヒュッテ」を去る時には 掃除をするのも利用者の義務です。

現実には、通常の営業宿に比べると設備がみすぼらしかったり 見劣りするのは普通ですが、実用的にはあまり変わらない「ヒュッテ」が 多いものです。むしろ居間などの共有スペースが広いだけに、 そして自宅のように自炊できるだけに、 主観次第では、営業宿よりも快適でさえあります。 それでも、「ヒュッテ」ですから、街中にあるよりは、 人里離れたところにあるものが好まれますけどね。 実際、そういう立地だと、(他のホテルなどよりは)山に近くなる、 という実用的な側面もあります。

それら「ヒュッテ」のほとんどは、どこかの山岳会の所有物です。 通常、自分の属している山岳会所有の「ヒュッテ」は ごく安く利用できます。 そのため、ある「ヒュッテ」を定期的に利用したい、という動機で、 その「ヒュッテ」を所有する山岳会に加入する人もしばしばいます。 それ以外の場合は、その山岳会に 連絡を取って、所定の利用料を支払って利用することになります。 逆に山岳会にとっては、「ヒュッテ」利用料は収入になり得ます。 実際には、光熱費や維持の費用が相当かかりますし、また平日の 利用者はごく限られるので、長期的に見て大きな収入になることは あまり期待できないことがほとんどでしょうが、一旦「ヒュッテ」を 建てれば維持費を利用料で賄えることは少なくないと思います。

(つづく)


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次回予告

次回は… 「英国随一の本格的登山ルート」

See you later!


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