▲欧州的登山生活▲

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第106号: キリマンジャロとケニア山 (その一)

発行日
2012/07/31
発行者・筆者
まさ (坂野正明)

まさです。
大変、ご無沙汰しております! この 1年のうち、半年近く、 スイスのジュネーブ郊外に住みました。仕事の合間を縫って、 フレンチ・アルプスや近傍に数多く出掛けることができました。

そして、スキーを始めることができたのも収穫でした。 昨冬、当地の氷壁登攀の条件は最悪でした。一方、 スキーの条件的にはほぼ最高だったのでした。そして、ずぶの素人の 僕は、スキー指導者の友人につきっきりで数日間鍛えてもらう機会に 恵まれました。代価は、僕が彼に氷壁登攀を指導する、という物々交換。 素晴しきかな。

ただ、当然ながら、引越も新しい土地や職場(や言語!)に慣れるのも 一苦労で、おまけに引っ越してすぐに自動車の全損事故を 起こしたり、と山以外の事件も多かったものでした。人生経験と思えば、 悪くなかったと肯定的に捉えられましょうか。 そんなわけで、(突如不可抗力で閉鎖の憂き目を見た)ウェブサイト再開も まだです。いずれ!

さて今号は、予告通り、2009年夏に行ったキリマンジャロとケニア山の 山旅の記録を主に据えています。「欧州的」の題目には沿いませんが、 これは外せないという経験を得られました。 お楽しみ下さい。

目次


登山記録編 〜〜 キリマンジャロとケニア山 (その一) 〜〜

この夏、アフリカを旅するゆきと合流して、 アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山(5895m)および ケニア山(5199m)を登ることにする。 僕が登った今までの最高峰は、アルプスの 4169m、 ゆきに至っては、最高峰は富士山(3776m)だから、 6000m に近いキリマンジャロ山は完全に未知の領域になる。

キリマンジャロは独立峰のため、高度順応をするのが簡単ではない。 実際、隣接峰からの高度差という意味では、キリマンジャロは世界最高峰だと聞く。 だから、ほとんどの人は、 特別な事前の高度順応なしに、下からほぼ一気に頂上まで登ることになる。

登頂には幾つかルートがある。なかでも圧倒的にメジャーなのが、 マラング(Marangu)ルートで、通常、5日間で登り降りる。このルートが 最もダイレクトでかつ最短で登れるルートであること、また ずっと山小屋に泊まっていけることが、人気の理由だろう。 一方、4日間という短期間で一気に登る、ということは、高山病の 危険は他のルートよりも高いことになる。

そこで、事前の調査の結果、僕は、マチャム(Machame)ルートを 選びたい、という気になった。 マラング・ルートに次ぐ、2番人気のルート。 泊まりは全て幕営、6日間かけて登り降りる。 途中、4000m前後での高度順応の時間が、マラング・ルートよりは ずっとよく取れる。登頂の成功率も高い、と聞く — もっとも、 成功率の高さの原因が、同ルートにおける高度順応の時間が長いためか、 それとも(相対的に歩く距離が長い)同ルートを選ぶ人はそもそも 相対的に体力(に自信)がある人のためか、は微妙だとか。

キリマンジャロ山の場合、登頂には、法律で現地ガイドを雇わなければ いけないことになっている。事前の調査では、登山者数人にガイド数人、 ポーター(強力さん)が一人当たり 2〜4人、それに料理長までつく、 遠征隊のような登山が普通らしい……。 当然、費用も高くつくことになる。ガイド本によれば、800米ドルで登れる、 ということなのだが……、自分で調べたり問い合わせた限りでは、 外国の代理店を通せば一人当たり少なくとも 1400米ドルはかかりそうだ。 会社によっては、2000米ドルをゆうに超える。 タンザニアの会社に直接問い合わせた時でさえ、色々条件を話合った 後で、1400米ドルが提示された。

ガイド本に載っている額と全然違うのは、どういうことだろう? マチャム・ルートの場合、(5日間でなく)6日間かける分、費用が 2割増しになるのは理解できる。しかし、それを勘案しても、 ガイド本に載る費用を目安とすれば、1000米ドルあればいいはずだが……。 ことここに至り、遠隔地から手配するのは諦めて、現地で 飛び込み挑戦することに決めた。つまり、現地でガイドなりと 交渉して雇うことで、一人当たりの登山費用 1000米ドル以下を 目指す、ということだ。

08/22 (到着)

ナイロビ経由で、タンザニアのキリマンジャロ空港に飛ぶ。 機内には、10人くらいお揃い色違いの 各自名前入りの「キリマンジャロ登山」Tシャツを着ている英国人グループが いたりして、雰囲気も盛り上がる、というもの。

余談ながら、何か比較的小人数のグループでイベントをする時に お揃いの服を仕立てるのは、現代英国ではよく見られる慣習。 (値段の関係で必然的に)Tシャツが普通ですが、 結婚式のブライズメイド(花嫁の付添い役の女性のことで、新婦の親しい友人が 務めるのが普通) 6人がお揃いのおにゅーのドレスで結婚式に登場したのを 見たこともあります。

空港の荷物受取場で問題が。 リュックサックの 雨蓋が 微妙にすかすか……やられた、荷物を抜き取られている! 登山の時に、通常、袋にまとめて雨蓋に入れている小物を、 袋ごとごっそり取られた。損害費用自体は2万円に満たなくて そう大したことはないのだが……、これからの登山に必要なものばかり なのが痛い。ゆきが持参した道具に頼って何とかするしかない、か。

空港職員に盗難を報告する。何かの裏紙を出してきて、ここに 事情を書け、と言う。そうして書いた後、受領証かコピーを要求すると、 出せない、ときた! なんでも、これは航空会社に報告することになるが、 今日は土曜日だから航空会社の事務は閉まっている、週が明けたら あらためて電話で連絡してくれ、とのたまう……。ひどすぎる……。 タンザニア、恐るべし。早速、洗礼を浴びた気分だ。

(……つづく)


世界の山紹介編 〜〜 タンザニアとケニア旅行事情 〜〜

通貨

ケニアとタンザニアの通貨は、それぞれケニア・シリングとタンザニア・シリング。 (タンザニアの)モシ町の中心街にも、ナイロビ国際空港にもバークレー銀行(英国系)の 支店と現金自動支払機があったので、そこでクレジットカードなどで現地通貨を 引出すことができます(キリマンジャロ空港には2009年時点で何もありませんでした)。 ケニア・シリングはそれなりの信用があり、大銀行ならば 西側諸国でも交換できる一方、タンザニア・シリングは信用も需要もないためでしょう、 難しいようです。ナイロビ国際空港ではタンザニア・シリングを両替入手可能でしたが、 交換レートは極端に悪かったものでした — 売値と買値の差が 50パーセントも ありました。

両国とも、街中で、米ドルの現金の札(コインは不可)は、普通に通貨として通用しますし、 それどころか、特にタンザニアでは、ある程度以上の額の支払いは米ドルでの 支払いに限る場合が少くないようです。 場所によっては、英ポンドやユーロ札でもOKでした。ただし、交換レートはずっと悪いかも知れません。

では、どうやって現地で米ドルを入手するか? どうもこれと言ったいい方法が ないようです! 銀行以外ではクレジットカードは使えませんし(例外は、 僕の限られた経験だと、ナイロビ市内とキリマンジャロの登山口の入山料支払所)、 ましてトラベラーズチェックはさらに使えないので、現金が必要なのですが……。 現金自動支払機からクレジットカードで現地通貨をおろして、それを 銀行で米ドルに換金はもちろん可能ながら、交換レートがかなり悪いことを 覚悟する必要があります。ですから、自国で米ドルの札(特に 1ドルなどの 少額)を多く交換して持参するのが一番、お得なようです。もちろん、 盗難にあえばそれまでなので、リスクがありますが。


次回予告

次回は… 「キリマンジャロとケニア山 〜 キリマンジャロ取付」

Kuona baadaye!


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