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▲欧州的登山生活▲

作成者:admin 作成日:2006/12/31 - 14:00

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△第39号: ピーク地方最高点探索行

発行日
2006/11/27
発行者・筆者
まさ (坂野正明)

まさです。
今まで僕がピーク地方で訪れた場所は、南東部に集中しています。 スタニッジ・エッジをはじめとする英国伝統のグリット岩地帯。 英国、いや世界の岩登りの聖地。 そんな南東部だけ取り上げれば、訪れた回数はすぐには数えられません。

一方、ピーク地方は、北部の方が喧騒・人里から離れています。 そして、ピーク地方の最高峰のキンダー(Kinder)もその一画にあります。 しかし、僕は未だ訪れたことがありませんでした。「ピーク」地方なのに、 その最高峰に行ったことがないなんて……というわけで、先の 6月 (ジューン・ブライドの6月—英国では最高の季節です)、 キンダー山に単独行で行ってきました。 実はなかなかに楽しいところだと分かりました。 以下、その記録です。 お楽しみ下さい。

なお、今週末から 2週間の出張があるため、次号発行は早くて 3週間後になります。 あしからず _o_

目次

  • 登山記録編 〜〜 ピーク地方最高点探索行 〜〜
  • Webページ更新情報

登山記録編 〜〜 ピーク地方最高点探索行 〜〜

列車を乗り継いで目的地のエデイル(Edale)駅に着く。 最初の目的地キンダー山山頂目指して歩き始める。 谷筋の径を突き上げて、高原風の場所に着く頃には、人の数も随分減った。 岩場クロウデン・タワー(Crowden Tower)まで径を辿って休憩。南に開けた見晴らしが 素晴らしい。南東部とは少し風景が異なって、いっそう田舎の風情がある。 湖水地方のようなはげ山でもなく、最高度の牧場の上にもそれなりに 緑が広がっている。いい感じだ。

さて、実は、ここから最高点までのルートが尋常ではない。というか、 道はない。 最高点に達するための道は、地図には一切、記されていないのだ。 だから、なるべく迷わずに行けそうな場所を、地図とにらめっこして 判断して、このクロウデン・タワーに来た次第だ。

「ピーク」地方と言いながら、この最高峰のキンダーは、全然、 「ピーク」という感じではなく、この一帯、だだっ広い高原だ(キンダー・スカウト(Kinder Scout)という)。 高原の中、1km ほど離れた場所キンダー・ロウ(Kinder Low)に、三角柱(triangular pillar; 日本の三角点)が立ってはいる。しかし、その標高は 633m。一方、だだっ広い 高原の中央に標高 636m の地点があって、どうやらそれがキンダーの、そして ピーク地方最高点になるようなのだ。ならば、そこに行かいでか。道など要らない。 高原を突っ切るのみ。その方が面白いというもので。ここら一帯は、 どこをどう歩いても(法的に)構わないし。

今日、五万分の一の地図しか持参していない。ついでに高度計もGPSも 忘れた。まぁ、その方が、ナビゲーションを楽しめるというものかな。 目をかっ開いて地図を読み、方向 290°、距離 870メートル、高度差 45メートルと見積もる。いざコンパスをセットして高原のただなかに乗り出す!

この高原、遠くから見れば阿蘇の山麓のような感じだが、近くに寄ると、 結構、起伏がある。3メートルくらいの高さの「畝」が入り組んでいる 感じだ。 たまに、高さ数十センチメートルの岩(ボルダー)が転がっている。緑の草が 映えている場所、地面が露出している場所、白い砂利になっている場所が 数メートルおきに交替して、コントラストを形作っている。

身長57メートルの巨人ならともかく、2メートルにもはるか満たない人の身では、 3メートルの畝の森の中を、方向を正確に維持しながら進むのは容易ではない……。 常にそう都合良く直進できるわけでもなし。 仮に 5°ずれただけでも、900メートルの後には、80メートルのずれに なってしまう。20°ずれたら 300メートル、絶望的だ (— と、 歩きながら正確に計算したわけではなくて、今だから書けることなれど……)。
地図の等高線だけ見て、平坦な土地と甘く見ていた僕は、いつしかコンパスと 地形との格闘に没頭していた。高原に足を踏み入れて以来、人の姿も途絶え、 時折くさむらから飛び出す兎だけが周りで動くもの。

ただ、明らかに全くの処女地のわけはなく、時折、人の踏み跡は 見える。ピーク地方の最高峰を含む高原、惹きつけられる人も少なくなかろう。 しかし、踏み跡の方向は、ランダム。つまり、踏み跡を辿ることは 不可能だし、仮に辿れたとしても、どこに出るかは、ランダム。 さいころよりひどい(さいころなら、六分の一もの高確率で正解に達する!)。 無視するに限る。

そして径を離れて約20分後、ついに、100メートル向こうに、この高原で 唯一の人工物、控え目なケルンを発見する。地図にあった最高点の印だろう。 僕が目標としていた方向と比較すると、わずか 30メートルの誤差に収まった。 上出来、いや出来過ぎと言うべきだろう。運もよかったか。 ケルンに触れて、控え目に片手を挙げてガッツポーズ!

僕のすぐ後、僕とは少し別方向から、カップルが歩いてきて、そのまま 一直線に立ち去っていった。カップルが畝の向こうに消えていった後、 「頂」付近の高原を独り占めすることになった。平たい高原だけあり、 遠くに見えるものもかなり限られる。何と言っても、ここが付近最高峰なの だから。言ってみれば、地平線まで広がるこの世界いっぱい、 晴れわたった青空の下、一人で満喫している雰囲気だ。最高!!

この素晴らしい瞬間、場所から立ち去り難く、ぶらぶらと過ごす。 ちょっと離れてマーキングまで済ませて(嗚呼、けだもの?)、少し経った頃、 南東の地平線上から数人のグループが現われた。この僕の世界への濫入者。 僕も去る潮時か。

キンダー・スカウトの高原をさらに横切ってキンダーの滝まで出て、 あとは登山道でゆるやかな道を駅まで下っていった。 今日は、珍しくずっと天気が崩れず、最後まで快晴のまま。
最後、エデイル駅近くでは、昔の知合いにばったりでくわした。 思いがけない再会で、すばらしい山行を締めくくった一日であった。

△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。(嗚呼、栄光の!)英国 公共交通機関の現況について、感じるところがあるかも知れません。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20060610_kinder.jis.html


Webページ更新情報

  • この記事は、以下にも載せました。
    http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu039.html
  • 「ピーク地方@イングランドの山情報」 に大幅加筆し、特に、 公共交通機関、 主要拠点地 などの実用情報がかなり充実しました。
    http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/info/peakd.html

次回予告

次回は… 「雷鳴轟く尖峰登攀(ガードムズ)」

See you later!


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Source URL (modified on 2006-12-31 14:00):https://www.sakano.co.uk/ja/magazine/backnumber/eu039.html#comment-0